算多きは勝ち、算少なきは敗る。況や算なきにおいてをや(孫子 計篇)
営業活動において、取引先から新たな領域を獲得し、売上を拡大することは、経営における新規事業への進出と似ています。どこから入り、どこに拡げていくか、作戦を立てることが重要です。
1.対象市場の検討
小さく入って大きく育てる、営業において基本となる考え方です。小さく入る(集中して入る)ためには、市場細分化の技術が応用できます。市場細分化の要件(フィリップ・コトラー/ゲイリー・アームストロング)を基に考えてみましょう。
測定可能性:細分化された市場の規模と購買力を容易に想定できること
到達可能性:細分化された市場に効果的に到達し、マーケティング活動が行えること
維持可能性:細分化された市場が十分な規模をもち、対象とするに足る十分な利益が得られること
実行可能性:細分化された市場を引きつけられる効果的なプログラムが実行可能なこと
消費者適合性:消費者(取引先)サイドの行動基準、商品・サービス選定基準に適合していること
対象市場の定義については、行政区分、統計区分に適合している必要はありません。地域、業務種類、etc、“対象市場のくくり方”が重要です。
2.蓄積した強みで市場を拡大する
市場縦断:担当領域を付加価値に上下流に拡大
例:衣類SPA(衣類販売→製造)
自社の現在の担当領域を起点に付加価値を開発し、経営寄り(上流)・消費者寄り(下流)に展開します。専門機能会社との競合になりやすく、価格面等で対抗できるかがポイントです。
市場横断:保有技術・ノウハウを別領域に展開
例:高速スピンドル技術(歯科ドリル→工作機械)
自社の強みである技術・ノウハウを現在の領域以外に展開します。現在の取引先以外の新規開拓時等に特に有効。未知の市場へのアプローチとなり、営業ノウハウ蓄積がポイントです。
市場の区切りの設定こそが営業戦略です。自社の有利地点と取引先価値基準の接点を探り、有利な展開を実現しましょう。