彼を知り己を知らば百戦して危うからず、彼を知らずして己を知らば一勝一負す、彼を知らずして己を知らざるば戦う毎に必ず危うし(孫子 謀攻篇)
1.情報の収集
営業の仕事は今日の売上を得ることとともに日の売上の元となる情報を収集してくることです。「売りながら調べ、調べながら売る」。顧客の情報を得るには、顧客に有益な情報を提供することが大切です。情報力・提案力が伴わない営業は、暇つぶしか迷惑な居座りになってしまいます。情報力・提案力に自信がなければ、 短時間・高頻度訪問の御用聞き型から始めていきます。第一に重視すべきは訪問回数(「量」的側面)。量を適正化した後、「質」的な側面である商談時間を適正化します。
2.情報は提案の原材料
提案の原材料は情報です。情報の加工・流通により付加価値を創り出します。精度の高い有効な提案は、
取引先から取得する情報の精度によります。
3.訪問>WEB商談>電話>メール
担当者の表情や話振りは文字にできない重要な情報です。例えば同じ「はい。」も口調によって意味が異なってきます。メール、電話ではエモーショナルな情報は入手できません。また、訪問には、競合社の営業時間を奪う効果もあるのです。
4.公知情報の収集
情報収集の手段は、顧客との会話だけではありません。政府を始めとした行政のデータベースは充実の一途ですし、業界団体、経済誌等など、情報入手の手段は多岐に渡ります。さらに顧客が上場企業であれば、IR情報で企業方針から業績見通しまで詳細に開示されています。
5.情報分析は3Cで
情報分析手段についても様々な手法がありますが、3C分析を基本とすれば良いでしょう。3C分析とは、「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の頭文字である3つのCを意味する分析方法です。3 つの C の分析結果を基に、企業は現状を把握することができ、そこからマーケティング戦略や営業戦略の組み立て、経営課題の発見を行います。SWOT分析やファイブフォース分析を推奨しているところもありますが、強みと弱みは見る角度から入れ替わることからSWOT分析は慣れが必要ですし、顧客や協力会社まで脅威と考えるファイブフォースは、供給業者や顧客との価値共創や、競合他社とも連携を図るオープンイノベーションなどの重要課題に馴染まない場合があります。
提案なくして営業成果を挙げることは困難です。質の高い提案を行うためには、質の高い情報と分析が必要です。公知情報や非定型情報を組み合わせ、質の高い分析を行いましょう。これにより、営業活動の効果を最大化し、持続的な成長を実現できます。