「奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき」 百人一首 五番 猿丸太夫
現代語訳:人里離れた奥山で、散り敷いた紅葉を踏み分けて泣いている鹿の声を聞くときこそ、いよいよ秋は悲しいものと感じられる。
百人一首はその名の通り百人の和歌を一人につき一首ずつ選んで作られた百首から成る秀歌撰で、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだと言われていますが、その中でこの歌は私が最も好きな歌の一つです。
紅葉は晩秋を彩る華麗な景物であるものの、ここでは滅びの前の際立った華麗さが、秋の悲哀の極まった風景を想像させ、その対比が見事な歌だと思います。
そして話は変わり、先日、四季の移り変わりを味わうべく愛知県の紅葉名所「香嵐渓」に。
そして「紅葉」はもちろんおススメなのですが、もう一つのオススメは「酒」。香嵐渓の入り口を少し通り過ぎた左手に愛知の銘酒「蓬莱泉」を量り売りしている小さなお店があり、そこで蓬莱泉の「可(べし)」と「美(び)」を購入しました。
同じ銘柄の日本酒ですが、市内の店頭で瓶詰めされて販売されているものとは味も香りも全く異なり、生酒ならではの味わいがあります。
秋の「味わい方」、人それぞれですね。