新事業進出補助金は、中小企業が新たな市場や高付加価値事業に進出する際の挑戦を支援するための制度です。この補助金は、企業の成長・拡大を促進し、生産性向上や賃上げを図ることを目的としています。以下に基本要件と補助金の詳細をまとめます。また、第12回事業再構築補助金との違いにも触れ、補助金選択の参考にしていただける内容としました。
中小機構が公表した事務局公募要領によると、2025年4月頃までに公募要領を公開(公募の開始)、以降、2026年度末までに4回程度の公募、採択予定件数は計6,000件程度の予定となっています。
基本要件
- 企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦
- 事業者にとって新製品(または新サービス)を新規顧客に提供する、新たな挑戦であること。
- 付加価値額の年平均成長率
- 補助事業終了後、付加価値額の年平均成長率を+4.0%以上増加させること。
- 事業所内最低賃金
- 地域別最低賃金+30円以上の水準を達成すること。
- 次世代育成支援対策推進法への対応
- 同法に基づく一般事業主行動計画の公表など、一定の要件を満たすこと。
- 賃上げ要件
- 賃上げに関する具体的な基準を遵守することが求められます(大幅賃上げ特例も適用可能)。
補助金の上限額と適用特例
- 補助上限額(基本額 / 大幅賃上げ特例適用後の額):
- 従業員数20人以下: 2,500万円(3,000万円)
- 従業員数21~50人: 4,000万円(5,000万円)
- 従業員数51~100人: 5,500万円(7,000万円)
- 従業員数101人以上: 7,000万円(9,000万円)
- 補助下限額: 750万円
- 大幅賃上げ特例:
- 補助上限額の上乗せ要件:
- 事業場内最低賃金を+50円以上達成。
- 給与支給総額を+6%以上達成。
- 補助上限額の上乗せ要件:
- 補助率: 1/2
事業実施期間
- 交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)。
対象経費
以下の経費が補助対象となります:
- 建物費
- 構築物費
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 広告宣伝・販売促進費
これらの経費は、事業の成長や新規市場進出をサポートするための具体的な支出を対象としています。
第12回事業再構築補助金との違い
項目 | 新事業進出補助金 | 第12回事業再構築補助金 |
---|---|---|
目的 | 新市場や高付加価値事業への進出支援。 | ポストコロナに対応した事業再構築や成長分野への進出支援。 |
背景 | 中小企業の新規事業展開を促進し、企業の生産性向上や賃上げを図る。 | コロナ禍の影響を受けた事業者の回復や産業構造の転換を促進。 |
対象 | 新たな事業を行う中小企業。 | コロナ影響下の事業者、成長分野への転換を目指す事業者。 |
補助対象経費 | 設備投資費、研究開発費、プロモーション費用など。 | 建物費、システム構築費、廃業費など多岐にわたる。 |
補助率 | 1/2 | 1/2~2/3 |
事業規模と期間 | 約6,000件採択、令和10年度末まで交付完了。 | 総額・採択件数は未明示、最大補助額は大規模(1500万円~3億円)。 |
追加要件 | 賃上げや付加価値向上を図るプロジェクトであることが必要。 | 事業再構築指針に基づき、事業計画策定や金融機関等の確認が必要。 |
新事業進出補助金は中小企業が積極的に新市場へ進出するための支援に重点を置いており、事業再構築補助金はポストコロナ対応や成長分野での大胆な事業転換を主な目的としています。目的や条件の違いを把握し、自社の状況に適した補助金を選択することが重要です。
新事業進出補助金は、中小企業の新たな市場開拓や事業の成長を強力に支援する制度です。特に大幅賃上げ特例を活用することで、より高額な補助を受けられる可能性があります。また、第12回事業再構築補助金と比較して、自社に合った選択肢を検討することが、成功の鍵となります。この補助金を活用して、自社の新規事業挑戦を成功させましょう!