時間軸マーケティングの実践:顧客分析により顧客理解を深める

マーケティング

時間軸マーケティングを効果的に進めるには、何よりも「顧客理解」が欠かせません。今回は、過去に行った数百万人の購買データ(数億件に及ぶレコード)を基にしたドラッグストアの顧客分析の事例を紹介します。

クラスター分析による顧客分類

クラスター分析を用いることで、顧客の来店目的商品は以下の5つに分類されました。

  1. ベビー用品(消耗品)
  2. 化粧品
  3. 健康食品
  4. 医薬品
  5. 食品・雑貨

さらに10のクラスターに細分化し、特に「ベビー用品」と「健康食品」では2クラスター、「食品・雑貨」に至っては4クラスターが形成されました。同じ商材を目的としていても、クラスターが異なる要因は「価格感度」によるものです。

例えば、食品・雑貨では、コンビニ感覚で様々な商品を均等に購入するクラスター(さらに購入アイテムの量で2クラスターに分かれる)や、必要最低限の品だけを購入するクラスター、そして価格を重視した「バーゲンハンター」のクラスターが存在します。

最も貢献度の高いクラスター

各クラスターを売上面から分析すると、最も店への貢献度が高いのは「ベビー用品」を目的とするクラスターです。このクラスターでは、ワンストップショッピングによる効率性を重視し、顧客1人当たりの売上累計が平均の2倍に達していました。また、来店頻度や購入アイテム数も全クラスターの中で最も高い結果となりました。

価格を気にしつつもベビー用品を購入するクラスターも、累計売上で全体の2位を占めており、ベビー用品全体としての貢献度が高いことが確認できます。

健康食品と化粧品の購買傾向

次に貢献度が高いのは「健康食品」でした。品揃えを重視する健康食品クラスターでは、顧客1人当たりの売上累計と来店頻度が平均の1.5倍に達しています。

一方、「化粧品」を目的としたクラスターは、他の商材クラスターとは異なる購買行動を示しました。売上累計は平均の1.5倍と高い一方で、来店頻度や購入アイテム数はほぼ平均的。さらに、月末に来店する傾向が強く、給料日後に高価格の基礎化粧品をまとめて購入するという行動が推測されます。

ドラッグストアの業態と戦略の違い

ドラッグストアは、大きく2つの業態に分かれます。1つは「価格訴求型のミニスーパー」としての側面を持ち、もう1つは「医療機関に近接する業態」で、調剤や医薬品を充実させる店舗です。今回の分析は後者の業態にフォーカスしたチェーンの事例ですが、各チェーンが採用する戦略によって、クラスターの構成も異なってくるはずです。


このように顧客の購買行動を理解し、クラスターごとの特徴を把握することで、時間軸マーケティングの精度を高めることが可能です。

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