現場で実践する取引先ごとの営業戦術

営業・販売

営業活動は、取引先の状況や市場環境に応じて柔軟に戦術を設計する必要があります。そのためには、最初の一手をどのように打つか、そしてその後どのように拡大していくかが重要です。

1. 最初の一歩:「橋頭堡」の確保

営業戦術の第一段階は、取引先との接点を確保する「橋頭堡」を築くことです。「橋頭堡」とは、情報が継続的に得られ、競合から守りやすい業務を指します。以下の条件を満たす業務が理想的です:

  • 本命業務と関連性があること
  • 定期的な打ち合わせが必要であること
  • 一定の労力が求められること
  • 高額な報酬ではないが採算が取れること

最初の一歩を小さく始めることで、取引先の信頼を得やすくなり、その後の展開がスムーズになります。

2. 次のステップ:「線」をつなげる

橋頭堡を確保した後は、それを基点に別の業務へと展開し、複数の接点をつなげて「線」を形成します。この段階では以下の戦術が重要です:

  • 連続性のある業務の開発
    第一の橋頭堡と第二の橋頭堡をつなぐような業務を設計し、関係を深化させます。
  • あえて効率の低い業務にも挑戦する
    効率だけを追求するのではなく、取引先との接点を増やすために多様な業務に取り組むことが効果的です。

3. 最終段階:「面」で包囲する

「線」を「面」へと広げることで、取引先の主要業務(本命領域)を攻略する基盤を整えます。以下の手順が考えられます:

  • 三つの拠点を築き、包囲戦を形成する
    橋頭堡を複数確保し、それらを相互に関連付けることで、取引先の本命領域に自然と入り込む形を作ります。
  • 本命領域を囲むような業務を開発する
    例えば、関連する付随業務を提案し、取引先との結びつきを強化します。

4. 戦術設計のポイント

営業戦術を設計する際には、以下の点を意識することが重要です:

  • 迅速な意思決定
    完全な情報が揃わなくても、素早い判断と行動が求められます。決定を遅らせることで機会を逃すリスクを回避します。
  • 受容可能なリスクを設定
    戦術を実行する際のリスクをあらかじめ許容範囲内に設定し、スムーズな行動を可能にします。
  • 意思決定の権限を委譲
    現場レベルでの迅速な対応を促すために、意思決定の権限を分散させることが有効です。

5. 継続業務と単発業務のバランス

取引先との関係を長期的に構築するためには、継続的な業務を優先することが重要です。以下の特徴を把握しておきましょう:

  • 継続業務:取引額は小さくとも、年単位以上の継続が期待できる業務。信頼構築や安定収益につながります。
  • 単発業務:一時的に売上や利益を増加させる特需的な業務。ただし、長期的な成長にはつながりにくい場合があります。

現場における取引先ごとの営業戦術は、フェーズごとに異なるアプローチを取る必要があります。最初の一歩を小さく始め、橋頭堡を築き、それを基点に拡大していくことで、取引先の信頼を得ながら戦術を展開します。また、継続業務を重視しつつ、柔軟かつ迅速な意思決定を心がけることで、持続的な成長が期待できます。

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