営業担当者が集めるべき情報-取引先の意思決定タイプ

営業・販売

善く敵を動かす者は之れに形すれば敵必ず之れに従い、之れに予うれば、敵必ず之れを取る、此を以って之れを動かし、卒を以って之れを待つ(孫子 勢篇)

企業の取引においては、意思決定プロセスに「起案者」と「決裁者」が存在します。営業担当者にとっては、取引先組織内でこれらの役割を担う人物がどのような状況にあるかを正確に把握することが求められます。

起案者とは

「起案者」とは、経営計画や部門部署において、計画に基づき各種施策を立案する人物を指します。施策のアイデアを生み出し、組織内での具体的な提案の基礎を作りますが、必ずしも実施担当者とは限りません。

決裁者とは

「決裁者」は、起案された施策に対して実施の可否を最終的に判断する人物です。彼らは組織にとっての「ゴーサイン」を出す立場にあり、取引やプロジェクトの最終決定権を持っています。

パターン1.起案者=決裁者

取引先の特徴: 主にオーナー経営者や全権を委任された担当者が該当します。このパターンでは、起案者=決裁者であるため、その人の意向や感覚が全てを左右します。時に方針が急に変更されることもあるため、柔軟な対応が求められます。

対応ポイント: 対応速度が非常に重要です。また、起案者=決裁者との密な接触が鍵となります。素早いレスポンスを心がけ、頻繁な連絡で関係を強化することが効果的です。

パターン2.起案者1×決裁者1

取引先の特徴: 一般的な企業でよく見られるケースです。起案者と決裁者の関係性により、提案の可否が大きく左右されます。

対応ポイント: 起案者が決裁者から信任されている場合、起案者の意向にできる限り沿った提案が効果的です。一方で、起案者の信頼が薄い場合、提案が決裁される可能性が低いため、提案内容の再検討や見送りも選択肢として考慮すべきです。

パターン3.起案者N×決裁者1

取引先の特徴: 比較的大きな企業で、発注部署内で業務が完結するケースです。縦割りの組織構造が特徴で、各起案者がそれぞれの専門領域に集中しています。

対応ポイント: 各起案者の関心が異なるため、全体的に合意する一方で、詳細部分で意見が割れやすい傾向があります。各担当者の「譲れないポイント」を事前に把握し、決裁者の方針に合わせて調整することが必要です。

パターン4.起案者N×決裁者N

取引先の特徴: 官公庁や大企業の競争型案件、部署間で連携が必要なプロジェクトなどに見られます。多くの部署が関与し、合意形成が求められるパターンです。

対応ポイント: 減点方式で選考が行われる傾向があり、提案には論理的根拠(エビデンス)が求められます。各関係者の意見を確認しながら、それが個人の見解なのか組織の見解なのかを明確にしておくことが重要です。

実質的な起案者と決裁者を見極める

営業担当者は、形式上の役割だけでなく、実質的な意思決定に関与する人物を特定し、効果的なアプローチを取ることが必要です。

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