諸侯の謀を知らざる者は予め交わること能わず、山林険阻沮沢の形を知らざる者は軍を行ること能わず、郷導を用いざる者は地の利を得ること能わず(孫子 九地篇)
新規開拓営業が進まない原因は、主に2つに大別されます。一つは、営業担当者の心理的な抵抗感です。知らないところに行って断られたくない、恥をかきたくないという気持ちが、新しい顧客の獲得に向けた行動を阻害します。もう一つは作業効率の問題です。同じ労力をかけるのであれば、すでに関係ができている取引先の方が効率的に売上を上げやすいと考え、結果として新規開拓が後回しになってしまうのです。
1.心理的抵抗を取り除く
新規開拓営業と既存営業には、どのような違いがあるでしょうか。実は、新規と既存の営業の違いはさほど大きくありません。新規開拓の難しさは、相手に関する情報が少ないという点にあります。しかし、ファーストコンタクトから複数回のやり取りを経ることで、情報が蓄積され、既存の取引先と同様の関係が築けるようになります。そこで有効なのが「紹介」です。紹介による新規開拓は、ある程度の情報と信用を補完できるため、新規開拓の難易度を下げてくれます。
また、相手に関する情報が少ない場合でも、事前準備を徹底することでカバーできます。ファーストコンタクトに自信を持つために、訪問前にしっかりと情報を収集し、事前にアポイントメントを取ることで、スムーズな接触を心がけましょう。
2.売上獲得の効率性と成長性を考える
確かに、短期的な売上獲得という観点では、既存取引先への営業の方が効率的です。しかし、企業の成長を見据えたとき、新規開拓による顧客数の増加は欠かせません。既存の取引先は、さまざまな要因で減少する可能性があります。これに対応し、成長を確保するためには、新しい顧客の開拓が重要です。
営業の評価基準として、既存取引先と新規開拓のいずれも単年度の売上額や営業利益額のみを指標としている企業が多いのが現状です。しかし、新規開拓は将来の成長を見据えた活動です。したがって、開拓した顧客数など、新規開拓専用の評価指標を設けることが重要です。
新規開拓に取り組むには、まずは情報収集を含む事前準備を徹底することが大切です。そして、新規開拓に励む営業担当者が適切に評価されるように、組織としてのバックアップ体制を整える必要があります。これらのポイントを意識することで、新規顧客の獲得がスムーズになり、将来の成長につながります。