冬の寒さが少しずつ和らぎ、街のあちこちに春の兆しが感じられる3月。まだ肌寒い日もありますが、陽射しの柔らかさや芽吹き始める草花が、確実に季節の移ろいを知らせてくれます。
1. 春を告げる花々
3月といえば、まず思い浮かぶのは梅の花。2月から咲き始めることが多いものの、地域によっては3月に見頃を迎えることもあります。梅の香りが風に乗ってふんわりと漂うと、それだけで春の訪れを感じるものです。
また、桃の花や菜の花もこの季節ならでは。桃の節句(ひな祭り)には、淡いピンクの花が飾られ、春らしい華やかさを演出します。一方、黄色の菜の花は、田んぼの畦道や川辺を彩り、春の陽射しとともに鮮やかに映えます。
2. 春の風と匂い
3月になると、風の質が変わるのを感じることはないでしょうか。冬の冷たい風から、少し湿り気を帯びた柔らかな風へと変わり、そこに土の匂いや若葉の香りが混じり始めます。特に、雨が降った後の土の匂いは、まさに春の訪れを感じさせるものです。
また、花粉が飛び始めるのもこの時期。花粉症の方にとってはつらい季節かもしれませんが、それもまた春の風物詩のひとつ。自然の変化が私たちの体にも影響を与えるのを実感する時期でもあります。
3. 動き出す生き物たち
冬の間、静かにしていた生き物たちも、春の陽気に誘われて活動を始めます。庭先や公園で見かける小鳥たちのさえずりが賑やかになり、川辺ではカエルの鳴き声が聞こえることも。虫たちも少しずつ姿を現し、冬眠していた動物たちが目を覚ます頃です。
また、3月は卒業と別れの季節でもあります。旅立ちのときに桜が咲いていることは少ないかもしれませんが、新たな始まりを迎えるこの時期には、どこか清々しさが漂います。
4. 春を迎える行事と習慣
3月3日のひな祭りは、女の子の健やかな成長を願う行事。雛人形を飾り、ちらし寿司やひなあられを楽しむこの風習は、日本の春を象徴するもののひとつです。
また、春分の日を迎えると、昼と夜の長さがほぼ同じになります。これを境に、日が長くなり、本格的な春へと移り変わっていきます。お彼岸の時期には、お墓参りをして先祖を偲ぶ風習もあり、家族で集まる機会が増える時期でもあります。
5. 春の訪れを感じる瞬間
日差しの温もりを感じたとき、春の風に乗って花の香りが漂ったとき、川辺に菜の花が咲いているのを見かけたとき。ふとした瞬間に「春が来た」と感じることが増えていきます。
3月は、まだ寒さが残る中にも確実に春が近づいていることを感じる季節。忙しい日々の中でも、少し立ち止まって、身の回りの春の気配に目を向けてみてはいかがでしょうか。