ものづくり補助金は、中小企業の生産性向上を支援する重要な施策として知られていますが、2024年度(令和5年度補正予算…2023年12月時点)と2025年度(令和6年度補正予算)では、いくつかの重要な変更が行われました。これらの違いを整理し、どのような点に留意すべきかを考えます。
1. 補助上限額の変更
2024年度では、補助上限額が最大8,000万円とされていましたが、2025年度ではこれが最大4,000万円に引き下げられています。一部の枠(グローバル枠など)では引き続き3,000万円が適用されますが、全体的に上限額が縮小される傾向にあります。
2. 補助率の調整
両年度とも基本的な補助率は1/2から2/3の範囲で維持されていますが、2025年度では特に「最低賃金の引き上げに取り組む事業者」に対する補助率引き上げが強調されています。この取り組みを行う事業者は、最大2/3の補助率が適用される点がポイントです。
3. 基本要件の追加・変更
2024年度では、「付加価値額の年平均成長率3%以上増加」や「給与支給総額の年平均成長率1.5%以上増加」といった要件が求められました。これに対し、2025年度では給与支給総額の年平均成長率要件が「直近5年間の地域別最低賃金の成長率以上」または「2%以上増加」となり、より明確な基準が示されています。また、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表が追加されています(従業員21名以上の場合のみ)。
4. 支援枠の整理
2024年度の補助金では、支援枠に「省力化枠」や「成長分野進出類型」などが含まれていましたが、2025年度ではこれらが簡素化され、「製品・サービス高付加価値化枠」や「グローバル枠」といったより明確な分類に再編されています。
5. 補助対象経費の見直し
両年度で共通して補助対象経費には、機械装置費、システム構築費、専門家経費、クラウドサービス利用費などが含まれていますが、2025年度では「収益納付を求めない」という記述が明記され、事業者にとっての負担軽減が図られています。
6. 大幅な賃上げへのインセンティブ
2025年度では、「大幅な賃上げ」(年平均成長率6%以上の給与支給総額増加など)を行う事業者に対し、補助上限額の追加(100~1,000万円)が明記されています。これにより、従業員の賃金向上を目指す事業者にとってはさらなる支援が期待できます。
両年度の変更点を把握することで、事業計画の策定時に適切な準備が可能となります。特に、補助金申請には事前の準備が欠かせません。補助要件やスケジュールを確認し、最大限の活用を目指しましょう。