2024年度と2025年度の「IT導入補助金」変更点

補助金

会計検査院の抜き取り検査で不正受給率が約8%にも達するなど、大量の不正受給が見つかったIT導入補助金は、前回公募の採択率が、枠によっては90%程度から10%程度まで激減するなど、混乱が続いていました。

しかし、IT導入補助金は、ITツールを活用した生産性向上やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を支援するための重要な制度として継続。2025年度(令和6年度補正予算)では、補助対象の拡大や条件の変更があり、中小企業や小規模事業者の多様なニーズに対応できる仕組みが強化されています。

2025年度の主なポイント

1. 補助金の枠組み

2025年度の補助金は以下の枠で構成されています:

  • 通常枠:ITツールを導入して業務効率化やDXを推進する事業者を支援。クラウド利用料(最大2年分)や導入関連費(保守サポート、マニュアル作成等)も対象。
  • 複数社連携IT導入枠:10社以上が連携してインボイス制度対応やキャッシュレス決済を導入する取り組みを支援。導入後の活用支援も対象経費に含む。
  • インボイス枠(対応類型):インボイス制度への対応を支援。PC、タブレット、レジ等のハードウェア導入費も補助対象。
  • セキュリティ対策推進枠:サイバーセキュリティサービスの利用料を補助し、セキュリティ強化を支援。

2. 補助額と補助率

補助額と補助率は以下の通りです:

  • 通常枠:補助額5万円~450万円、補助率1/2。ただし、3ヶ月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員数が全従業員の30%以上の場合は補助率が2/3に引き上げ。
  • セキュリティ対策推進枠:補助額が最大150万円に引き上げ。小規模事業者は補助率が2/3に強化。
  • インボイス枠:小規模事業者の補助率は最大4/5。

2024年度からの変更点

1. 導入関連費の補助対象化

2025年度から以下の枠で、ITツール導入後の定着を目的とした活用支援費が新たに補助対象になりました:

  • 通常枠
  • 複数社連携IT導入枠
  • インボイス枠(対応類型)

これにより、保守サポート費やマニュアル作成費などの経費が対象となり、導入後の運用や効果定着が支援されるようになっています。

2. セキュリティ対策推進枠の補助額上限の拡大

2024年度では補助額の上限が150万円未満でしたが、2025年度では最大150万円に引き上げられました。これにより、セキュリティ対策の強化に対する支援がより手厚くなっています。

3. 通常枠の補助率の引き上げ条件

2025年度では、3ヶ月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員数が全従業員数の30%以上である事業者に対し、通常の補助率(1/2)から2/3に引き上げられる措置が追加されました。これにより、最低賃金近傍の事業者への支援が強化されています。

4. 小規模事業者への補助率強化

セキュリティ対策推進枠における小規模事業者の補助率が従来の1/2から2/3に引き上げられました。これにより、小規模事業者が安心してセキュリティサービスを導入できる環境が整備されています。

2025年度のIT導入補助金は、導入後の活用支援やセキュリティ対策への支援が強化され、事業者の実態に即した内容に進化しました。特に、導入関連費の補助対象化や補助率の引き上げが導入効果を最大化する鍵となります。自社に最適な枠組みを選び、補助金を最大限活用しましょう。

トライブレインでは、主要補助金について、申請支援も行っています。補助金事務局勤務経験を持つ当社メンバーの他、補助金専門コンサルタントや様々な専門家とも提携し、補助金申請のためだけでなく、「実際に使える」事業計画を皆さんと一緒に作成します。詳しくはこちらをご覧ください。

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