事業承継・M&A補助金は、中小企業が円滑な事業承継やM&Aを実現し、生産性向上や持続的な賃上げに繋げるための支援制度です。2025年度(令和6年度補正予算)では、支援枠や補助条件の見直しが行われています。本記事では補助金の概要と2024年度からの主な変更点を解説します。
1. 2025年度の補助金概要
支援枠と対象
2025年度の「事業承継・M&A補助金」は、以下の4つの枠で構成されています:
- 事業承継促進枠
- 親族内や従業員への事業承継を計画している中小企業に対する設備投資費用の補助。
- 補助上限:800万~1,000万円(一定の賃上げを行う場合、上限1,000万円)。
- 補助率:1/2(小規模事業者の場合2/3)。
- 専門家活用枠
- M&A時に必要なフィナンシャルアドバイザー(FA)や仲介業者への費用、表明保証保険料などを補助。
- 補助上限:600万~2,000万円(条件により異なる)。
- 補助率:1/2~2/3。
- PMI推進枠(経営統合支援)
- M&A後の経営統合(PMI)に必要な設備投資や専門家活用費用を補助。
- 補助上限:150万~1,000万円(一定の賃上げを行う場合、上限1,000万円)。
- 補助率:1/2~2/3(小規模事業者の場合)。
- 廃業・再チャレンジ枠
- 事業承継やM&Aの実施に伴う廃業時の原状回復費用や在庫廃棄費用を補助。
- 補助上限:150万円(他枠と併用可能)。
- 補助率:1/2~2/3。
対象経費
- 設備費(設備導入、移設等)
- 外注費・委託費(専門家活用)
- 廃業支援費(解体費、リース解約費等)
2. 2024年度からの主な変更点
PMI推進枠の新設
PMI推進枠は、M&A後の経営統合(PMI: Post-Merger Integration)に必要な費用が補助対象となります。経営統合に必要な設備費や外注費に加え、専門家活用費用が補助対象として明確化されています。
「PMI専門家活用類型」(補助上限額150万円)と「事業統合投資類型」(補助上限額800万円~1000万円)があります。
補助上限額の見直し
事業承継促進枠とPMI推進枠では、一定の賃上げを行う場合の補助上限が800万円から1,000万円に引き上げられました。これにより、従業員の待遇改善を目指す取り組みが支援強化されています。
補助率の引き上げ条件
小規模事業者や赤字企業に対する補助率が強化され、一部枠では従来の1/2から2/3に引き上げられました。これにより、厳しい経営環境にある事業者にも手厚い支援が行われます。
廃業・再チャレンジ枠の柔軟化
廃業・再チャレンジ枠が他枠と併用可能となり、廃業後の再スタートを目指す事業者への支援が強化されています。
2025年度の事業承継・M&A補助金は、設備投資や専門家活用への支援がより手厚くなり、事業承継やM&Aを検討する事業者にとって活用の幅が広がりました。特に賃上げ要件や補助率引き上げの条件を満たすことで、より有利な条件で補助を受けられる可能性があります。自社の状況に応じて適切な支援枠を選び、補助金を最大限活用しましょう。