企業が営業活動を成功させるためには、明確な営業方針の策定が不可欠です。本シリーズでは、営業方針を決定していくプロセスと、それぞれのプロセスでの重要なポイントについて解説します。前編では、営業方針決定の初期段階となる「現状分析」と「市場分析」について取り上げます。
1. 現状分析:自社の強みと課題を把握する
営業方針を決める第一歩は、現状を正確に把握することです。自社の営業状況を客観的に評価し、どのような課題があるのかを整理します。
ポイント①:販売状況の確認
- 主要な顧客層と売上構成の分析
- 主力商品の売れ行きと市場でのポジショニング
- 過去の営業活動の成果と課題
ポイント②:営業体制のチェック
- 営業チームの人員構成とスキルセット
- 営業プロセスの効率性(リード獲得からクロージングまでの流れ)
- マーケティングとの連携状況
ポイント③:競争力の評価
- 他社製品・サービスとの比較優位性
- 自社の提供価値(価格・品質・サービス・ブランド力など)
- 顧客満足度やリピート率の分析
この段階では、自社の営業活動がどこでうまくいっていて、どこに改善の余地があるのかを明確にします。
2. 市場分析:ターゲット市場と競争環境を理解する
次に、営業方針を立てる上で重要なのが、市場の現状を正しく理解することです。市場分析を行うことで、ターゲットとなる顧客層を明確にし、競争戦略を策定する基礎を築きます。
ポイント①:市場の動向把握
- 市場規模と成長率(業界全体の動向を把握)
- 業界の最新トレンド(技術革新、規制変更など)
- 顧客の購買行動の変化
ポイント②:競合分析
- 主要な競合企業とその強み・弱み
- 競争環境(価格競争、差別化要因)
- 競合の営業戦略やマーケティング施策の分析
ポイント③:ターゲット顧客の明確化
- 顧客の課題やニーズの整理
- 顧客が重視する購買決定要因(価格、品質、アフターサービスなど)
- 顧客の意思決定プロセスの把握
市場分析の結果を基に、自社がどのターゲット層にどのような価値を提供できるのかを明確にします。
営業方針の決定において、現状分析と市場分析は不可欠なステップです。自社の営業活動の強みと課題を明確にし、市場の状況や競争環境を正しく理解することで、より効果的な営業戦略を立てることができます。
次回の中編では、「営業戦略の立案」について詳しく解説します。