営業成果を上げるための活動量の重要性
営業で成果を上げるためには、活動量を増やすことが不可欠です。営業活動における数値化可能な指標と顧客別売上の関係を分析しました。分析事例の指標は、顧客への訪問回数、提案回数、提案にかかる時間(営業以外の部門も含む)の3つです。結果として、明らかに売上高との相関が見られたのは「訪問回数」のみでした(分析では相関係数0.71)。顧客の課題を正確に把握しない提案は的外れになりがちで、提案に多くの時間をかけても顧客からの評価が得られにくいことを示していて、現場での体感とも一致します。
一方で、各指標の前年差を分析すると、売上前年差と提案回数の前年差の相関係数は0.70、売上前年差と提案に要した時間前年差の相関係数は0.66と、提案回数や提案に要した時間が売上に強い影響を与えていることがわかりました。
売上のベースを作るためには、顧客への訪問が重要です。また、ポテンシャルが高い顧客やトレンドに乗っている顧客については、意識的に提案回数を増やすことが効果的です。訪問活動を通じて、顧客に対してより多くのサービスや情報を提供することで、売上の向上が期待できます。
営業活動の基本とそのバランス
営業は顧客にサービスを提供するフロントです。訪問量は顧客に提供したサービス量と捉えられ、それが顧客からの売上に繋がります。理想的には、訪問量と提案の質がバランスよく保たれていることが求められます。以下のような状態で考えることができます。
訪問量 ≒ 顧客に提供したサービス量 ≒ 顧客からいただく売上
この状態が「当たり前」とされ、安定した営業活動が行われていると言えます。
訪問量 ≒ 顧客に提供したサービス量 > 顧客からいただく売上
訪問の内容が不足していたり、顧客に対してサービスを過剰に提供している場合です。売上獲得のために先行投資として営業量が蓄積している場合もあります。マネージャーによる正確な状況の見極めと、適切な判断が重要です。
訪問量 ≒ 顧客に提供したサービス量 < 顧客からいただく売上
営業効率が高いように見えますが、顧客の期待に応えられていない可能性があります。顧客の不満が蓄積し、売上やシェアの低下、取引先変更のリスクが高まります。
改善のためのヒント
改善の鍵は「はずれ値」にあります。たとえば、顧客のポテンシャルが高いにもかかわらず訪問量に対して売上が全く追いついていないケースでは、訪問活動に同行してみると、ビジネスの話がほとんどされていないことがありました。この場合では、定期的に提案のヒントを与えることで売上が徐々に伸びていきました。訪問量の割に大きな売上を得ているケースもあります。前任の営業の評価が高く、残存分としての売上を得ていたことがあります。この場合では、訪問量を増やすなどの対策を早急に講じる必要がありました。訪問量の割に大きな売上を得ているケースの中には、営業担当者が個人的に同業種への対応経験が豊富であり、顧客の課題に対する知見が深く、効果的な提案を迅速に行い売上を獲得していることもありました。この場合は、成功事例をもとに、類似の課題を持つ顧客を洗い出し、手分けして提案を拡げることで、組織全体の業績向上に繋がりました。
営業活動を通じて成果を上げるためには、活動量を増やすことが基本です。訪問回数や提案の質、そしてそのバランスを見極め、顧客のポテンシャルを最大限に引き出すことが成功への鍵です。各指標を分析し、改善点を見つけて実行することで、より効果的な営業活動が実現します。