新規取引先の候補選定とアプローチの原則

営業・販売

其の無備を攻め、其の不意に出づ(孫子 計篇)

新規開拓営業を行う際、多くの場合、対象となる企業はすでに競合と取引しています。そのため、競合に勝つための情報収集と、効果的な戦略・戦術の構築が必要です。ここでは、新規開拓営業の成功に向けたステップを考えます。

1. 候補選定

新規開拓営業は、当初の効率が悪くても将来の成長のために欠かせません。どこにアプローチするかの選定は非常に重要で、持続的な取引ができることが大前提です。無理な価格設定のみでは、取引が長続きしません。優良取引先となり得る企業を慎重に選び、採算が合わないと判断した場合は候補から外します。

  • 大企業へのアプローチは意外にハードルが低い
    大企業は購買・調達を合理的に行います。自社の製品やサービスが明確に価値を持ち、競合に対して優位性があるならば、取引のハードルは思ったよりも低いことがあります。
  • 難攻不落の企業は優良得意先への第一歩
    取引先を厳選する企業は、取引が始まれば長続きする可能性が高いです。相手の忠誠心を得られれば、一気に優良顧客になることが期待できます。
  • シェア100%の企業にも隙がある
    現取引先への不満が蓄積し、競合を求める声が上がることもあります。シェアが100%でも、現取引に問題があればチャンスがあります。
  • 郊外の企業には新たな道がある
    郊外にある企業は、既存取引先からの訪問や提案が少ないことが多く、商談や提案の回数を増やすことで競合を上回れる可能性があります。

2. 最初のアプローチ

候補に選んだ企業に対して、自社の提供価値を明確に伝え、相手の課題を想定し、その解決策となる商品・サービスを具体的に提示しましょう。相手が自社のことをあまり知らない場合もあるため、実例を交えた具体的な説明を準備しておくことが大切です。

  • アポイントは3回を目安に
    アポイントを断られることもありますが、別の予定が入っているなどの物理的な理由の場合もあります。少なくとも3回はアプローチを試みましょう。
  • 「御社のため」の提案をする
    汎用的なパンフレットではなく、相手のためだけに作られた提案は労力を評価されやすいです。「自分だけのため」の提案は、好奇心を引き出し、アポイント獲得を容易にします。

3. 継続と撤退

初対面の相手にいきなり切実な悩みを打ち明けることは稀です。営業活動も同様で、新規取引先へのアプローチは「先行投資」と捉え、継続的に接触を図ることが重要です。

  • 継続できるならば、取引の見込みあり
    商談に応じる場合、既存取引への不満やこちらへの期待が背景にあることが多いです。相手の期待に応えるような提案を継続しましょう。
  • 「準備不足」と「訪問不足」が失敗の原因
    相手にとってのメリットが明確でなければ、会いたいと思われません。準備を怠らず、継続的な訪問を心がけましょう。
  • 中途半端な撤退は避ける
    自らアプローチした相手に対し、理由なく撤退することは好印象を与えません。撤退する際は、基準を明確かつ合理的に設定し、相手に納得してもらうことが重要です。

新規開拓営業で重要なのは、適切な候補選定と効果的なアプローチ、そして粘り強い継続です。競合に勝つための戦略をしっかりと練り、継続的な営業活動を通じて、将来の成長につながる顧客基盤を構築しましょう。

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