営業活動における情報収集の技術

営業・販売

「間を用うるに五有り」(孫子 用間篇)

営業活動は、単なる売り込みだけではなく「情報収集活動」としての側面が非常に大きいものです。今回は、この情報収集の技術について考えてみましょう。営業で必要な情報を相手から引き出すには、「教えてほしい」だけではなかなか思うような答えは得られません。そこで、効果的な情報収集のための3つのステップと有効な質問テクニックを紹介します。

1.提案までの3ステップ情報収集

①ファーストステップ

・「話すより聞く」姿勢を持つ
情報収集が目的であれば、まずは相手に話してもらうことが重要です。取引先担当者に一方的な売り込みをするのではなく、彼らの話に耳を傾け、理解しようとする姿勢を示しましょう。

・答えやすい質問から始める
相手に話してもらうためには、まず簡単で答えやすい質問からスタートすると効果的です。小さな質問を重ねていくことで、自然なコミュニケーションが生まれ、相手も話しやすくなります。

②セカンドステップ

・仮説検証を行う
これまで収集した情報や公知情報をもとに、取引先の課題に関する仮説を立て、その仮説に基づいて解決策を探ります。仮説に基づいた質問を投げかけることで、具体的で効果的な提案内容が見えてくることも多いです。重要なのは、相手の意見を引き出すために過度に誘導せず、否定的な意見も大切な情報として受け止めることです。

③サードステップ

・威力偵察を使う
予定している提案内容を少し示しながら、相手の反応やさらなる情報を引き出します。既存の商品・サービスや他社の事例などに対する評価を分解して質問し、担当者の考えを探ります。

・複層聴取の活用
担当者個人の考えと、組織全体としての見解を区別することも重要です。異なる部門や階層に同様の質問を行い、同じ回答が得られれば組織としての合意事項、異なる回答なら担当者の個人的見解と判断できます。これにより、情報の精度を高め、思い込みを排除することが可能です。

2.有効な質問をするための7つのテクニック

  1. 話すより聞くことを重視する
  2. 最初の質問は答えやすいクローズドクエスチョンから始める
  3. オープンクエスチョンはコミュニケーションが暖まってから使用
  4. 相手を誘導しすぎない
  5. 相手に気付きの機会を与える
  6. 相手に考えをまとめさせる
  7. 威力偵察を活用する

質問の仕方には「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」の2種類があります。クローズドクエスチョンは「はい」か「いいえ」で答えられる質問で、相手の事実や考えを確認したいときに有効です。一方、「どう思いますか?」などのオープンクエスチョンは、相手から多くの情報を引き出したいときに適しています。

対面での情報収集の重要性

情報収集はできる限り直接、顔を合わせて行うことが理想です。対面での会話は、表情やトーンといった非言語情報も含まれるため、精度の高い情報を得られやすく、関係構築にもつながります。顔を合わせて話すことで提案の精度も向上し、より実効性のある営業活動ができるようになります。

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