衆議院選挙の結果、政権与党の獲得議席は過半数割れとなりました。少なくとも次の衆議院選挙までは、政策ごとに政党間調整が必要になります。各政党の選挙時点での経済政策公約を見てみます。
各党の公約は、衆院選2024NHK選挙WEBから転載
1.自由民主党
物価上昇を上回る賃上げに加え、設備投資や人への投資が積極的に行われ、成長と分配の好循環が力強く回っていく経済の実現を目指す。
電気・ガス料金、燃料費高騰対策とあわせて、物価高騰の影響を受ける事業者や低所得者、地方などに寄り添った物価高への総合的な対策に取り組む。
当面の対応として、低所得者世帯を下支えするための給付金による支援を講じる。
「経済あっての財政」の考えで、デフレ脱却最優先の経済・財政運営を行う。
2.立憲民主党
「分厚い中間層」の復活に向けて、最低賃金を1500円以上に引き上げ、適切な価格転嫁などによって労働者の賃金の底上げを実現する。
リスキリング=学び直しなど、徹底した「人への投資」で賃上げを支援する。
希望すれば正規雇用で働けるよう、契約社員や派遣労働の抜本改革をする。
成長の柱となる環境エネルギーやデジタル産業などへの投資を重点的に行う。
食料の自給率を高めるため、農家への新たな直接支払制度を構築する。
3.日本維新の会
成長のための税制を目指し、消費税や所得税、法人税の減税を行う。
消費税は8%とし、軽減税率制度を廃止する。
一般のドライバーが有料で人を運ぶ「ライドシェア」に象徴された旅客運送業をはじめとする既存産業への参入障壁の撤廃など、大胆な規制改革で経済を成長させる。
4.公明党
物価高の影響が大きい低所得世帯や年金生活者に対し、生活支援として給付金を支給する。電気・ガス料金、ガソリンなど燃料費への支援を続ける。
最低賃金を引き上げ、5年以内に全国加重平均で時給1500円の達成を目指すことで、物価上昇を上回る賃上げを実現する。
5.日本共産党
最低賃金を時給1500円以上に速やかに引き上げ、地方格差をなくして全国一律の最低賃金制を確立する。
大企業の内部留保に時限的に課税して10兆円規模の財源を確保し、中小企業の賃上げへの直接支援を抜本的に強化する。
介護現場などで働く「ケア労働者」の賃金を引き上げる。
男女での賃金格差を是正する。
消費税の廃止を目指し、当面、緊急に税率を5%に引き下げる。
消費税の納税額を正確に把握するための「インボイス制度」を廃止する。
6.国民民主党
「令和の所得倍増計画」を実現するため、増えた税収を還元し、国民の手取りを増やす。
実質賃金がプラスになるまでの間、時限的に消費税率を5%に引き下げる。
所得税の負担を軽減するため、基礎控除を拡充し、年少扶養控除を復活させる。
半導体、蓄電池、AIなど成長分野への投資減税を行う。
7.れいわ新撰組
消費税は廃止し、消費税の納税額を正確に把握するための「インボイス制度」も撤回する。
季節ごとに10万円の「インフレ対策給付金」を届けるとともに、冷暖房費が大幅に増える真夏や真冬に暑さ・寒さを乗り切るための緊急給付も行う。
最低賃金を全国一律で時給1500円にするとともに、介護・保育現場で働く人の給料を月給10万円引き上げる。
残業の賃金割り増し率を大幅に引き上げ、残業上限を大幅に引き下げる。
8.社会民主党
大企業の内部留保に課税し、消費税の税率を3年間、ゼロ%にする。
労働者の賃上げを大幅に行う。
最低賃金を全国一律で時給1500円に引き上げる。
脱原発を進め、2050年までに温室効果ガス排出ゼロと自然エネルギー100%を達成する。
9.参政党
骨太の方針を改め、プライマリーバランス=基礎的財政収支の黒字化目標を撤回し、積極財政による経済成長を実現する。
消費税減税や社会保障の最適化を行う。
グローバルに展開する大企業の優遇から脱却し、中小企業を支える政策に転換する。
郵政や水道など、インフラの行き過ぎた民営化策を見直す。
一次産業の予算を3倍に増やし、食料自給率を倍増させる。
賃上げの原資となる成長策への言及がなく、内部留保への課税を主張する、日本共産党、社会民主党の主張は論外として、その他の政党間では政策調整の余地はいろいろ見つけられそうな気もします。