インターネット通販とメディア通販は、現代の消費者に多様な購買手段を提供する方法です。ポイントとなるのは、顧客を獲得するまでの「比較」プロセスの有無です。
1.インターネット通販:顧客による「比較」が重視される
インターネットで商品を購入する際、多くの場合、顧客は「比較」という行動を取ります。例えば、気になる商品を検索すると、さまざまな選択肢が表示されます。顧客は複数の商品を比較し、検討した上で購入を決めることが一般的です。このため、インターネット通販では、自社商品やオファーが他社よりもどれだけ優れているかをアピールすることが重要となります。
さらに、一部の企業では、顧客が他社と比較しやすいよう、自社サイト内に競合製品や代替商品を掲載し、サイト内で比較を完結させる工夫も行われています。また、インターネット通販の市場では「比較」という行動を重視する顧客が多く集まる傾向があり、価格や機能で他社を上回る強みがなければ選ばれにくくなります。参入コストが低いため、中小企業でも始めやすい一方で、大手企業がシェアを独占しやすい側面もあります。
2.メディア通販:即時購入を促し「比較」を排除
一方で、メディア通販は「比較」をプロセスから排除し、顧客が情報に触れたその場で購入に至るような仕組みを構築しています。テレビショッピングなどでよく見られる「今から○分以内にお申込みいただくと○%OFF」といったセールストークは、その一例です。視聴者がほかの製品と比較する間を与えず、限定的なオファーで即時の購入行動を促すように設計されています。
このようなメディア通販を行うためには、コールセンターなど顧客からの注文を受けるためのコンタクトセンターの設置や、テレビや新聞など高額なメディアへの広告出稿が必要となります。これにより顧客が「比較」をする前に購入決定へと導く、特有のビジネスモデルが成立しています。
項目 | インターネット通販 | メディア通販 |
特徴 | ・オンラインプラットフォームを利用 ・24時間アクセス可 | ・テレビ等のメディアを通じて商品を紹介 ・一定の時間に限定される |
運営のポイント | ・ウェブサイトの最適化 ・SEO対策 ・デジタルマーケティング | ・魅力的なコンテンツの制作 ・視聴閲覧者データの分析 ・コンタクトセンターーの運用 |
長所 | ・いつでもどこでも購入可能 ・ 商品情報の詳細を提供できる ・広範な顧客層にリーチ可能 | ・視聴者の信頼を得やすい ・直感的な商品紹介が可能 ・テレビショッピング独特の演出効果 |
短所 | ・顧客サービスの質が問われやすい ・サイト運営費用がかかる ・ デジタルマーケティングに依存 | ・広告掲出時間の制約 ・高額な広告費の費用 ・一部の視聴者層に限定される |
3.インターネット通販の特徴と運営のポイント
インターネット通販は、オンラインプラットフォームを通じて24時間365日、世界中の消費者に商品を提供できる点が大きな魅力です。ウェブサイトの最適化やSEO対策、デジタルマーケティングが運営の鍵となります。インターネット通販の長所は、いつでもどこでも購入できる利便性や、商品情報を詳細に提供できること、広範な顧客層にリーチできる点です。しかし、顧客サービスの質が問われやすく、サイト運営費用がかかる点やデジタルマーケティングに依存する点が短所といえます。
4.メディア通販の特徴と運営のポイント
メディア通販は、テレビやラジオを通じて商品を紹介する方法です。魅力的な放送コンテンツを制作し、視聴者データを分析してターゲットにアプローチすることが運営のポイントです。メディア通販の長所は、視聴者の信頼を得やすく、直感的な商品紹介が可能であること、テレビショッピング独特の演出効果です。しかし、放送時間の制約や高額な放送枠の費用、一部の視聴者層に限定される点が短所となります。
5.特性を理解した上で販売する商品との相性を考える
インターネット通販とメディア通販は、顧客の行動プロセスが異なります。また、運営のポイントも異なります。インターネット通販は、24時間365日どこからでもアクセスできる利便性が強みですが、デジタルマーケティングに依存しやすい点が課題です。一方、メディア通販は、視聴者に対する信頼性や直感的な商品紹介が魅力ですが、放送時間の制約やコスト面での課題があります。顧客獲得のための戦略を明確にした上で、それぞれの特性を活かすことが求められます。